来年度の予算案に市の都市公園である吉野緑地に隣接している赤煉瓦の吉井倉庫取得が盛られ、これに対し美術作家連盟から美術館としての活用の要望が上がるなど、注目が高まっています。
吉井倉庫は、日本初のシードル醸造所という歴史を持ち、近年では弘前市出身の美術家・奈良美智さんの作品展で何度か使われていますが、市が考えている文化交流施設という用途ばかりでなく、中心商店街・土手町に近く、さらにてこ入れが必要な弘南鉄道大鰐線の中央弘前駅の再開発ともからんでくるだけに、しっかりとした計画が必要だと思います。
この問題を考える上で、弘前の街割りの歴史は大きな意味があると思います。
たとえば、土手町といえば買い物をする街、鍛冶町なら飲食街、白銀町といえば行政機能というように、町ごとに機能が分かれているのが弘前の都市機能の特色で、八戸市の中心街でブティックの隣に居酒屋があるのを見て驚いたことがあります。
だからといって永続的なものではなく、以前の遊郭街は今では跡形もありませんし、東北有数の飲食街として知られる鍛冶町も、その名のとおり鍛冶屋が集まっていた街が戦後には特許を生み出すほどの農工具会社が立ち並ぶ街へと変わり、それがいつの間にかご覧のとおりの状況へとなっているのですから、街の持つエネルギーは計り知れないものがあります。
吉野緑地の周辺は、街割りが入りくんでいるところで、洋風建築の文化財である昇天教会が近くにあり、道路の並びには病院や市内最大の保育所であるみどり保育園があって静寂や安全が必要でもあり、中央弘前駅から橋を渡れば鍛冶町ですし、その駅舎を先日の鉄道BIG4は昭和のロケ地のようと絶賛していたとおり、単に新しくすればいいのかという問題もあります。
これに土手町との回遊や弘前駅との交通連携を考えたり、車利用の場合の駐車場問題までおさえた上で、文化交流施設の機能を持たせていくように進めていかなければならないのですが、そこには弘前では街の役割が分かれているという市民感覚を大事にしていく方向性が土台にあるべきです。
吉野緑地周辺のコンサルティングは、前回の議会で在京の団体に業務委託されたことですが、弘前の街割りの歴史をふまえた上で外からの提言を大胆に盛りこんで、新た恣意まちづくりが進むようになればと思っています。
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