2014年8月6日水曜日

この機会にねぷた運行を考える

昨夜、弘前ねぷたまつりでは初めてと思われる死亡事故が起きたことを受けて、6・7日目の運行と「なぬかびおくり」は中止となりました。私にとっても生まれて初めての事態で、残念でなりません。
事故の原因究明や参加団体による緊急会議などで今後の対応は進んでいくと思いますが、亡くなられた方への追悼の思いをこめて、ねぷた運行について考えてみたいと思います。

今回の事故も以前起きた大けがの事故も、原因は昇降機のトラブルでした。
これは、大型化したねぷたが信号や看板をかわすために必要な装備なのですが、これを稼働させる回数の多い土手町コースで2回運行してからの駅前コースで両方の事故が発生していることを考えると、当初は順調に動いていても回数を重ねることで調子が狂ってくる場合もあるでしょうし、それを参加団体の機械好きだけで点検しているのでは気づかないトラブルも起きる可能性が考えられます。
団体側での点検については必ずや安全対策マニュアルに盛られると思いますが、市として取り組むべきなのは運行コースの信号・看板を極力少なくしたり支障のない位置に移すことだと思います。
五所川原市の立佞武多が電線の地中化などの沿道整備を行ったことで動かすことができるようになった好例がすぐ近くにあるわけですから、これは早急に手をつけるべき課題だと思います。

もう一つは、先着順で出陣の順番を決めるのではなく、抽選にすることです。
初日2日目の審査日にはだいたい半分ずつに振り分けられていますが、現在の80を超す団体の多くが3日目と5日目に重なってしまっていて、3日目もいくつかのトラブルで終了時間をオーバーしての運行となっていたように、参加団体の希望に任せて先着順という方式では、なるべく早く帰りたいという気持ちが働いて早めにねぷた小屋を出ることになりますし、それが今回の事故につながっている可能性もあります。
これを、地区での運行との調整や早めの衆知のために早い時期に審査日・土手町コース・駅前コースの各2日間のどちらになるかと出陣順の抽選を行うことで調整する形にしてはどうかと思います。ただ、現在でも小型ねぷたを先にしているように、子どもの多く参加している団体は早い順番にするシード権を与えたり、7日目の日中運行に参加する団体には5日目の優先権を与えるといった工夫はすべきです。

それから、近年はじめた「なぬかびおくり」は、今回の中止を機にやめるべきだと思います。
青森ねぶた最終日の海上運行の向こうを張れるイベントが必要だという考えから企画されたイベントだと思いますが、わが相馬ねぷた愛好会のようになぬかびは村内運行してから打ち上げと流れのところでは参加できませんし、こちらの方が本来のねぷた運行の形なのですから、無理やりなイベントをくっつけるべきでないと思いますし、こういうイベント重視の姿勢が注意をおろそかにさせる原因になっているかも知れません。
これよりも、2011年の開幕日前日に東日本大震災の追悼の思いをこめたねぷた囃子合奏を行ったことがあり、今年は3日目に約100人での大合奏を行って喝采を浴びたわけですが、今回の事故の追悼と駅前コースに移ったところで気を引き締める意味をこめて、出陣前に黙祷と合奏を行うことにするのはどうでしょう。

以上、つれづれに考えるままに書いてみましたが、何より大事なことは亡くなられた方も私たちもねぷたが大好きなのですから、より多くの人が楽しんで参加できる工夫を重ねて伝統を継承していくことだと思います。
これこそ、オール弘前で取り組まなければならない大テーマです。

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