今回の一般質問で小山内司市議が自治基本条例一本に絞って質問をするのを知り、楽しみにして傍聴に足を運びました。
小山内市議は、市で部長級を歴任した経歴の持ち主だけに一番的を射た質問をするので現職当時もたくさんのことを教えていただきましたが、今回も①二段階で市民検討委員会からの答申を受ける形を取ったこと、②自治基本条例を「協働によるまちづく基本条例」という名称にしたことと各条例の中での位置づけ、③この条例と経営計画における「まちづくり」の違い、④条例における総合計画と経営計画との関連についての4点について、じっくりと掘り下げながらの質問でしたので、多くのことがわかりました。
その中で、この条例の持つ本当の問題を私なりに指摘したいと思います。
②について自治基本条例とまちづくり条例では意味合いが違うという指摘をしていましたが、もともと自治基本条例は自治体の仕組みをルール化する米国のホームルール・チャーター=自主制定憲章に源泉があるとされ、日本ではじめて制定したニセコ町では「町の憲法」として他条例の上位に位置づけられていることからすると、まちづくりの基礎となる条例を定めるのとでは意義が違うというのは、まさにそのとおりだと思います。
また、③の「まちづくり」についての答弁で、経営計画ではまちづくりはひとづくり・くらしづくり・なりわいづくりと並ぶ4分野の一つという位置づけであり、基本条例ではまちづくりの中には他の3分野も含まれるとされていて、その位置づけの違いは大きいことがわかりました。
この二つのことは、自治基本条例としての機能を果たすことができるのかどうかという点で非常に大きいことですが、昨日の「自治体破れて山河あり」という視点からすれば自治の基本よりもまちづくりを地域の土台としてしっかり構築することをめざす方が意義あるものということができると思います。
一方、④の総合計画と経営計画の違いというのは、今回の総合計画が「弘前市経営計画」という名称なのだという簡単明瞭な答弁で、総合計画の議決についてはその計画の組み立てによるとして、議会の基本条例の中で主体の一つとして位置づけていることが説明されましたが、議会の側が考えなければならないのは①に見られる基本案を委員会から答申されたものを市で法務知識にもとづいて条例素案をまとめ、それをさらに委員会で議論してから答申となるという流れです。
これは簡単に言えば、一度素案がまとまったものに委員会で修正を加えてから最終案が決定するということで、非常に柔軟な手法だと評価できるものですが、ひるがえって議会の側の日程では最終案の説明後に条例案を3月定例会に上程するということになっていて、その際には提案されたものに意見して修正するのは至難の業だけに、委員会とのやりとりからすれば大きな違いがあります。
私は以前から修正の難しさを指摘してきましたが、この条例を成案とするにあたっても委員会は33回の会議を経ているのと、議会には二度の説明と一般質問での質疑だけで議決を求めるというのでは、どちらの意見を取り入れようとしているのか重視しているのかは明白だと思いますし、議会が怒るべきは住民投票や外国人参政権といった次の課題ではなく、自らの意見を組みこまれない扱いをされていることだと思います。
これらのことから、市民にとっては条例の位置づけ、議会にとっては扱いの軽さこそが、この条例における問題だと思いますので、3月までの議論にも注目していただきたいと思います。
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