2015年1月13日火曜日

介護保険を市政レベルで考える

雪対策や雪活用のことばかり論じてに、次年度からの介護報酬2.27%減額というニュースにふれずにいました。
増え続ける社会保障費を抑えるために、民間企業より利益率があると誤った情報を流されても医師会のように強い後ろ盾を持たない特別養護老人ホームと社会福祉法人を狙い撃ちしたようやり方に福祉関係者として腹が立っていますが、市民のための市議をめざす立場としては自己負担の軽減や介護保険料の抑制につながる決定は喜ぶべきこととしなければならないのでしょうが、そう単純な問題ではありません。
以前にも政治の面から介護を論じたことがありましたが、ここでもう一度市政レベルで考えてみたいと思います。

介護のサービスは使いたいが介護保険料は上がってほしくない、というのが普通の感覚だと思いますが、今回国が減額を決めたからといって弘前市の介護保険料も下がるわけではありません。
各自治体で協議の場をもうけて、3ヶ年ごとにこれまでのサービス利用状況や今後の予測などをふまえて介護保険事業計画を立て、それに基づいて介護保険料標準月額が算定されるので、現在の有料老人ホーム乱立という状況からすれば、国がマイナスであっても市としてはプラス改定となりかねないと危惧しています。
葛西市長は2期目のマニフェストで介護保険料を上げませんと約束していましたが、すべてご自身の任期に重なっている3年間のサービス利用状況に左右されることであり、葛西市政の適正な介護サービスに対する本気度が見えるポイントですので、市民の皆さんにも国の率より低い下げ幅だったとしたら実質的には上げたと同じことだと注視してほしいと思います。

適正なサービス実施によって介護保険料アップを抑えるのが何よりの特効薬ですが、もう一つ手だてがあります。それは、標準では0.5倍から1.5倍と6段階に区分されている階層を細分化したり高い階層をつくることで標準となる介護保険料を引き下げる方法です。
八戸市では確か2003年度から2倍負担の階層をつくっていましたが、弘前市では2006年度に1300円近く上がったのを反省して、2009年度には1.75倍の階層や区分の細分化で低所得な人ほど上がらない工夫をした上で、全体として85円アップに抑えることができました。
これは、当時の市長も介護には無関心だったので、福祉職のキャリアの長い健康福祉部長が頭をひねって生み出した策でして、そのことを雪灯籠まつりの開会式で耳打ちされた時には感嘆の声を上げてしまったほどでしたが、次の健康福祉部長は行政マンとしてはエリートでしたが介護のことは不勉強で無策でしたので、2012年度には全国ワースト10に入る高額な介護保険料となってしまったのでした。

ところで、この介護保険料は条例で定められることですので、最終的には議会が決めた形になります。
それだけに、2009年度の際は市で手を打たずに介護保険料をアップさせるのであれば階層区分を見直して抑える議員提案をしようと思っていたところへの先手を打たれた形でしたし、2012年度は議席を失っていましたので切歯扼腕して終わりでしたが、実はここに市議としての議決責任や提言ができるかどうか試されるものがあるのです。
それにもかかわらず、全国の議会でも「次年度からの介護保険料はいくらになるのか?」と自分が決めることを忘れて質問する議員がいるほど、介護保険の仕組みや問題を理解している議員は数少ないのが現実です。
今回のマイナス改定が市内の介護事業者にどのような影響を与えるのか、市で取り組むことになる介護予防事業をどこまで本気で行うのか、実際のサービスでも考えなければならないことだらけだけに、これを市政の場で市民の立場に立って議論できる議員が必要なのは、皆さんにもご理解いただけると思います。

介護の問題を何とかしたいと強く思っていますし、皆さんからの何とかしてほしいという思いに応えたいと思っています。

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