今朝の地元紙2紙とも、弘前市で来年度から職員のFA=フリーエージェント制を導入することが報じられていました。
経営型を標榜する葛西市長らしい発想だと思いますが、その前にやるべきことがあるだろうと思います。
そもそも、FA制とはプロ野球で一定の試合数などの条件をクリアした選手が次期の契約に際して宣言をし、これまでの球団と交渉した後に他球団と交渉をする権利のことですが、市で検討しているのはこれまでの異動希望を出したものを内々で調整するものから、ある年数になったら大っぴらに異動したいと宣言できるという変更だろうと思います。
これが成り立たないだろうと思うわけは、プロ野球の場合はFA宣言できるまでのキャリアと実績を積むには実力が必要ですが、市職員はよっぽどのことがない限り免職になることもなく、実績を測る人事考課も取り組んだ事務事業評価も確固たるものにはなっていないために、入職してある年数になればほとんどの職員が宣言できることになります。
これが成り立たないもう一つの理由は、プロ野球ではFAする向こう側には球団という存在があり、この選手ならほしい、あの選手はいらないといった冷徹な判断で、場合によってはFAしたものの声がかからず自由契約=クビという結果になることさえあります。
これを市に置き換えてみると、数十もある課が受け入れる側として機能するのも課長が獲得するかを選択する権限を持つのも難しいと思いますし、部という単位ではFAした側の希望をかなえることにはならないでしょうし、誰がどんな形で採否を判断するのかという問題があります。
以前、部長実行宣言が行われなくなったことを指摘しましたが、それだけ部長が責任を持って部を引っぱっていくという仕組みすらなくなっているのに、部下は勝手に異動したり入ってくるのでは、思ったとおりの仕事などできるものではありません。
それならば、次年度の部長を1月に公表し、その部長が取り組む事業政策をふまえて2月末までにドラフトを実施して陣容を固める方式の方が、部長には采配をふるう権限とともに責任が伴いますし、組織上も安定するのではないかと思います。
つけ加えれば、FA制は入団する際にドラフトという選択権がないのを補償する制度でもありますので、職員の場合は自ら志望して入職しているのですから、次に来るのはドラフトであっても帳尻が合うことになります。
それよりも、毎年のように部課の見直しがあり、自分が何課でどんな仕事をするのかクルクルしているような状況が続いているのを、一旦立ち止まって課名の変更よりも業務内容の棚卸しをするとともに、FAでもドラフトでも対応できるような人事制度や事務事業評価の足固めをするべきだと思います。
何よりも、職員が市民の立場を理解して実直に働くことが一番大事なことなのですから、そのために必要なことはさらなる変革なのか、それとも足固めなのか、葛西市長にも市民の皆さんにも考えてもらいたいと思います。
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