官舎は一昨年敷地の奥から移築されて、市役所とは駐車場進入路をはさんで並ぶ位置にあり、新聞社の先には喫茶室もある市民会館、藤田記念庭園がすぐあります。
平家建156㎡のこぢんまりとした建物ですが、1958年に市役所新築の際に約2/3が取り壊されていて、現在残っているのは公務で使った部分ということになります。
玄関には2段のポーチ、中にも上がりかまちがあり、部屋ごとに敷居がある古い様式で、約24畳の会議室・各8畳の執務室・控え室と奥の8畳二間の和室をつなぐ廊下も狭いながらも、これは動線の確保やバリアフリー化のために改変するわけにはいかないところでしょうから、使い勝手にしろ広さにしろ不十分だと改めて思いました。
この写真は執務室から撮りましたが、カーテンが見えている会議室の奥にはもうすぐ立体駐車場が完成し、もう一方の窓からは市役所と、建物に囲まれた景色しか見えないロケーションでもあり、今会議テーブルが並べられているように、ゆったりとした雰囲気で行う会議・ワークショップなどで活用する方が合っていると思います。
同じく第八師団の遺構である旧弘前偕行社には、弘前厚生学院の特別講義で何度かおじゃましましたが、両方とも軍のものとはいえ公務そして社交のための建物であり、用途によれば現状のままでも使えるものをわざわざ台無しにする意義はありません。
ところで、この建物は市の「趣のある建物」そして国登録有形文化財に指定されているわけですが、先日来の情報交換で紹介された神戸北野物語館も同じ指定を受けており、現在はスターバックスが入っています。
それなら官舎でもスタバをという話になりそうですが、この異人館はもともと朝のTV小説「風見鶏」のモデルになったパン職人が所有していた建物で、もともと1階はカフェとして使っていたのを阪神大震災で全壊認定を受けたのをきっかけに神戸市が所有することになって再建したところにスタバが2009年から入ったわけですので、指定後に大きな変更を加えたわけではないという経緯があります。
そして、何といっても弘前は津軽藩士殉難の歴史を今に伝えて珈琲の街を標榜してきたのですから、市が所有する文化財それも市役所敷地内というど真ん中に舶来のカフェを導入するというのは、市内でコツコツとやってきた珈琲店の皆様に無礼千万なやり方だと思います。
スタバが民間企業として進出してくるのは大いに歓迎すべきことですが、市が引きこむというのは道理に合わないと思いますし、珈琲の街としてのステータスを失うことの方が長期的には市にとってマイナスだと思います。
これ以外にも、公募から候補選定までの経過が不透明であること、市民にも議会にも説明がないままで動いて決めようとしていることなど、行政手続きや説明責任の面からも納得がいかないことが多いだけに、湯布院の例にならって断固反対で動こうと思います。
皆さんにも、このような建物の現状や珈琲の街という文化を理解していただいた上で、また意見をいただきたいと思いますし、これからのアクションにも注目していただきたいと思います。
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