先月27日に発生した御嶽山の噴火は、戦後最悪の被害であるのは間違いないばかりか、連絡が取れていない人を見積もると死者が100人を超えるのではないかという未曾有の事態となりそうです。
ところで、全国に47ある活火山のうち4つも青森県に存在しているのですが、岩木山・八甲田山・恐山は思いつくとしても、もう一つの活火山であり今では湖としか思っていない十和田山が915年に起こした大噴火は火山灰が東北一帯をおおうほどの有史最大の規模であったことを青森県民でも知っている人は少ないように、噴火による災害は台風や地震・津波に比べて意識してこなかったと言えると思います。
この機会に、今年刊行された『岩木山を科学する』をもとに岩木山噴火の歴史に学び、今後の対応や備えるべきことを考えておきたいと思います。
今では火山活動など無縁に思える岩木山ですが、一番近いところでは1863年に「出火」と書き記された小規模な水蒸気爆発が中腹で起きたことがわかっているとおり、れっきとした活火山です。
これに備えるために、青森県では2002年に岩木山火山ハザードマップを作成公表していますが、私もこの件で調べてみるまで存在すら知らなかっただけに、多くの市民県民の皆さんも知らずにいたのではないかと思います。
これによれば、御嶽山と同じ水蒸気爆発は数百年に一度の確率で起きるとされており、火口から半径13kmといえば岩木・相馬地区をスッポリとおおうエリアに1mmの火山灰が降り、これが数千年に一度のマグマ噴火の場合はほぼ同じ範囲に1cmの火山灰になるほどの被害があるというのです。
岩木山は山頂近くまで車やリフトで近づきやすいだけに、火口付近での人的被害は御嶽山以上に考えられることですから、逃げこめるシェルターの設置なども検討しなければなりません。
また、広範なエリアでの降灰は、農業ばかりでなく観光や交通などにも長期的な影響があるでしょうし、直接の被害以上の対策を考えておかなくてはならなくなると想定しておくべきでしょう。
これが杞憂に終わればよいのですが、前回の噴火までは「死火山」(今では、この語が死語となっているそうです)と思われていた御嶽山でもこれほどの災害となるのですから、明治以前には何度か「出火」してきた岩木山は用心するにこしたことはありませんし、これに備えてこそ防災と言えると思います。
東日本大震災のように至近距離で起きたことでもなく、直接の救助や支援にあたれる事態でもないだけに、岩木山が噴火した場合に何をすべきか学ばせていただくのが、御嶽山での犠牲に私たちが報いることだと思います。
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