先日も論じた次期介護保険料の据え置きを葛西市長が正式に表明しました。
今回の表明では、据え置きのために地域福祉基金から7億円を繰り入れること、現在取り組んでいるケアプランチェックなどによる利用適正化が功を奏さなければ3年後には大幅アップになるということでしたが、これは先に指摘したとおりの問題であり、改めて失政のそしりを逃れられないやり方だと思います。
これを繰り返し批判するのではなく、ケアプランチェックという手法の問題を介護支援専門員養成研修指導者という立場から論じたいと思います。
市では、サービス利用の適正化のためにケアプランチェックに取り組んで一定の成果が上がっているとし、来年度はさらに人員を増やして対応させる考えのようです。
これは、事業者が利用者を自分たちのサービスに囲いこむことを抑制するのが最大の目的ですが、これを抑えこむにはケアプランというレベルではなく有料老人ホームや付随するサービスそのものを増やさせないのが一番効果がありますし、それは市が覚悟を決めればできることなのは、何度もお知らせしたとおりです。
その意味でも、限定的な効果しか上がらない手法で職員に苦労させ事業者にも面白くない思いをさせるのはやめるべきなのですが、もっと大きいのはケアプランを立てる意義をまったく理解していないやり方が問題だからです。
私が養成研修で介護支援専門員の卵の皆さんに指導したり、施設で実践してもらったことに、利用者の状況に応じてケアしなければならない内容を計画に盛りこむのは当然のことながら、その方の残された力を生かしてできることを増やしていったり、これだけは実現したいと思っていることを年に一つでもかなえるような前向きなケアプランに取り組むことでした。
実際に、書道を好んだ方に施設のロゴに使用するからとお願いしたところ勇躍して立派な文字を書き上げてくれたり、90歳を超えて車イス生活となりながら東京にいる娘の病気が心配だからという方が上京するのを実現させたことなどで、どれだけ生き生きとしたかを実体験してきた立場からすれば、重箱の隅をつついて前向きなケアプランに取り組む気持ちや時間を削ってしまうようなチェックなど、認められるはずがありません。
こういう問題をはらんでいる手法を拡大しようとしていることや、自分たちが検討してきた介護保険事業計画を踏みにじるような据え置き表明に対して、介護にかかわる業界や団体から反論があってもいいはずですが、それが見られないのも残念なところです。
皆さんにも、財政的なことばかりでなく、ケアプランそのものに悪影響を与える方向に向いている市の介護保険制度に危機感を感じていただきたいと思います。
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