2014年6月16日月曜日

有料老人ホーム、いりますか?

先日、選挙違反のことでふれた平川市長選事件ですが、今日の朝日新聞に社会福祉法人と政治という観点で大きく取り上げられていました。
記事と同じ内容の指摘も簡単にしてありますが、弘前市の場合は介護保険にかかわる入所施設は全国に比べて非常に高い整備率であること介護保険料の高騰を防ぐのには最も効果があることから、整備を認めていませんし今後も認めないと思いますので、ここまでの事例は起きないと思います。
それなのに、市民の皆さんの実感では老人ホームが増えていると思う方が多数であると思いますが、そう思っているのは「有料老人ホーム」という名の老人アパートなのです。
今回は、有料老人ホーム(以下、「有料」と記します)の問題点を考えてみたいと思います。

2000年の介護保険制度施行以前からこっそりと存在していた「有料」ですが、弘前市では3年経った第2期介護保険料が高騰したことをふまえて、指定の入所施設である特別養護老人ホーム・老人保健施設、これに続いてあっという間に全国最高水準の整備率となったグループホームの建設に関しては許可しないことにしました。
そこで、事業を拡大したい介護事業者やこれまでの事業が立ちゆかなくなって参入を図った異業種が目をつけたのが、「有料」と入所施設ではない扱いになっている短期入所=ショートステイです。
「有料」の場合は、それ自体では指定の施設ではないので家賃収入しかないのですが、自分たちで経営もしくは連携しているデイサービスに通わせたりヘルパーを派遣することで介護保険収入も入る形にして経営が成り立つようにしています。
デイやヘルパーは、在宅サービスであるとともに事業認可するのが県なので、市の介護保険課では仮に「有料」とセットになっているとわかっていても意見書を出さずに申請をさせないという荒療治まではできないでしょうから、もし市が野放図な「有料」増殖を食い止めたいと思うなら、建物としての建築確認を出さないという別件逮捕のような手段しかないのです。
葛西市長は、2期目にあたって次期介護保険料は上げさせないと口にしていますが、「有料」に付随するデイやヘルパー、そしてこれも県の認可であるショートが増えている現状では上がらないわけがありませんし、他の財源を投入して額を抑えるのではごまかしでしかありませんので、この件では過ちを認めた上で市民にも「有料」規制をするへの理解を求めながら手を打つべきだと思います。

ところで、ご存じのとおり福祉介護にかかわってきた立場であるのに、なぜ事業者側に立たないのかと思われる方もあるでしょう。それは、「有料」が社会のためにならないからです。
私が知っている限り、介護保険制度以前からある特養や老健は、立地している地域とのご縁がしっかりとあり、行事に地域のかたがたを招いたり自分たちが地域に出て行ったりということを多かれ少なかれやってきたと思いますし、そのことで社会福祉法人もしくは医療法人としての理念を実現してきたと言えます。
しかし、近年増殖した「有料」は地域とは隔絶した存在で、交流もなければ住民として町会費も払わないでいるところがほとんどですが、それが施設ではなく老人アパートであるだけに福祉の観点から改善を求めることもできません。
こういうところに、介護の負担を解消するために高齢者が押しこまれてしまえば、送り出した側の地域にも住み続けてきた高齢者がいなくなるということで、こちらでもコミュニティが崩れていく要因となってしまいます。
二重の意味でコミュニティを崩壊させていく「有料」を、政治にかかわりながら地域を守っていく立場としては認めるわけにはいきません。
それでも介護に困っている人には必要なんだから、という反論も当然あるでしょうが、訪問看護ステーションを経営した際には、末期ガンで治療の施しようのない方が退院を迫られて自宅に帰されたのをヘルパーとともに朝夕訪問を組みこんで対応し、相馬という小さな地域でも2年間で6件も看取ることができ、そのたびにご家族から「どうなるかと思ったけど、家で看取ることができてよかった」とお礼を言われる経験があるだけに、介護保険制度の本旨である在宅介護で対応できるし対応できることを市民にもっと知ってもらうことが大切だと思っています。

そもそも、介護は40歳以上から保険料が徴収されても、実際にサービスを受けるのは65歳以上でも2割にしかならないのですから、負担だけで終わる人が多い仕組みです。
それだけに、介護保険料を抑えるというのは必要なことですので、そのためにはどうあるべきか、皆さんにも考えていただきたいと思います。