2014年6月30日月曜日

成年後見からゼロ葬を考える

今回は、死にかかわる問題で寺社の多い弘前市では避けておくべきテーマかも知れませんが、だからこそあえて議論の俎上に載せておきたいと思います。

土曜日、市民後見人フォローアップ研修に参加しました。これでも、最初の市民後見人養成講座を修了しているのですが、これまで2回はフォローアップに参加できずにいたところ、先日の報道で2件の市民後見人による成年後見がはじまったというので、近況を知る意味もあっての参加でした。
研修では、東京の学会での市民後見人からの報告の報告、弘前市での市民後見人第1号からの実践報告、その後グループに分かれての事例検討と進みましたが、全体を通じて死後の処理が課題として浮き彫りになりました。
本来、後見人は被後見人が亡くなったところで業務が集結するのですが、さすがにハイ、ソレマデヨと終わるわけにもいかず、社会福祉士として何軒も受任してきた方々もさまざまな経験をしてきたそうですし、施設を通じて見届けてきた私にも同じような思いがあります。
とりわけ、市民後見人が受任する市長申し立てのケースは、家族が後見できないばかりか不在や連絡不能というのがほとんどですので、死後の対応を後見人がやらざるを得ない可能性が非常に大きくなるのですが、それだけではなく財産がほとんどない場合も多いので、どこまでお弔いに費用をかけられるのかという不安がつきまとうことになります。

そこで、私は付け焼き刃の知識で、最近では家族葬や直葬、さらにはゼロ葬まではじまっているから弘前市でも検討すべきだと発言したのですが、言いっ放しでいけないと思い、週末に提唱者である島田裕巳氏の『0葬~あっさり死ぬ』を読了しました。
これには、前著である『葬式は、要らない』からの葬儀にまつわる状況の変化もまとめられていますので参考になりますが、要約すれば「火葬は戦後の習慣であり、日本は葬儀に世界一カネがかかる。人生80年90年の大往生の時代には、死者にとらわれずに済む0葬でもよいというやり方があってもいいのではないか」ということです。(書名は「0葬」なのですが、まぎらわしいのでゼロ葬と表記させていただきます。)
遺骨を大事にする習慣は火葬に伴うわけですし、驚くべきは西日本では火葬の際に頭蓋骨やのど仏といった大事な部位を除くと残りの2/3はいわばゴミとして処理されているというのです。東日本のはずれである弘前市でも、最後には斎場の職員が細かいものを掃き集めていますが、それを大胆に行うのが西日本のやり方なのでしょう。
それまでの土葬から火葬となって生まれた風習があるように、現代にあった葬儀の仕方があってもよいのではということで、今でも本当は焼却すれば全部灰になるところを火力を調整して骨の形を残しているのだという都市伝説があるように、将来的には希望によって全部焼却を選択できるようにすれば、葬儀や墓さらにはお寺に払う費用が圧倒的に少なくできるというのです。
ただし、つけ加えておくと島田氏も全員そうすべきだということでなく、ゼロ葬も選択できる時代になったということですし、私も宗教否定をしようと思って、この文を記しているのではないことをご理解ください。

成年後見の話に戻りますと、ほとんど財産もなくお弔いをしてくれる親族もないという被後見人であれば、このゼロ葬が選択できれば、どれだけ後見人も気が楽だろうと思うのです。
ある自治体では、こういう身寄りのない方々を合同で祀る施設を持っているところもあるそうで、弘前市でも増え続けている生活保護の方が亡くなられたら、葬祭扶助という支出をするのではなくゼロ葬で終えて合同で弔うことも検討すべき時代が来るかも知れません。
先日ふれたような葬祭ホールは増えてはいますが、関係者に聞いても家族葬で済ませたり死亡広告を載せないといった葬儀の簡略化が進んでいるのも事実ですので、全国的に見て所得が低く、なおかつ火葬してから通夜葬式を行っている全国でも珍しい地方である特性を生かしながら、禅林街をはじめとして多くの寺社が建ち並ぶ弘前市だからこそ、新時代の葬儀ゼロ葬を打ち出すべきだと思うのです。
そのことが、葬式仏教ではない弘前のお寺という価値を高めることにつながる可能性だってあるのです。

これには賛否両論が当然あるでしょうし、葬儀の持つ意義を改めて考えるチャンスでもあると思います。
これをテーマに、一度住職を務めている方とオープンに語り合いたいと思っています。

2014年6月25日水曜日

改めて、スポーツとしてのゴルフ場問題

奇跡を起こすのには応援の力も必要だと身勝手な理由をつけて、土手町コミュニティパークで行われたサッカーワールドカップ日本対コロンビア戦のパブリックビューイングに加わりました。
前半の健闘むなしく実力差を見せつけられる結果となり、渋谷駅前よろしく土手町スクランブル交差点でハイタッチするイベントは水の泡となりましたが、5:00からという時間にもかかわらず100人近い観衆が集まり、一丸となってザックジャパンを応援したのは、サッカーが広く親しまれていることを如実に示しています。
このエネルギーを浴びた上で、改めてスポーツの面から市民ゴルフ場問題を考えます。

昨日、予算特別委員会で資産の賃貸料とともに取得も可決されたゴルフ場問題ですが、3セク救済という論点を抜きにして、ゴルフ場の必要性について一番的を射た質問をしたのは佐藤哲市議だったと思います。
佐藤市議は、今期から65歳以上が無料となったことにふれ、利用者中の割合を問うたところ、4・5月の利用者2800人のうち約3割が該当するとの答弁を受け、65歳以上でもゴルフを楽しめるのはごく一部でゆとりのある人たちばかりだ、それをもってゴルフ場が必要だというのはおかしい、と切り返しました。
それに対して、市からは65歳以上の利用者のうち半数はゴルフ以外にスポーツをしていないというアンケート結果をもとに、ゴルフで健康を保っている人たちの存在を理由づけに使っていましたが、考えてみれば昨年までの有料だった頃には利用者数が1/3だったことからもわかるとおり、この方々は安くなったから市民ゴルフ場も使ったのであって、そうでなければ普通のコースを回っていたわけです。
これをもって市民が必要としているというのには無理があると思いますし、そもそも預り金=会員権30万円を出資した人たちが700人前後いるわけですが、ご自身がゴルフを楽しんだりゴルフに対して期待するものがあるのであれば、自ら先頭に立ってゴルフ場存続の署名なり募金なりをはじめるべきだと思うのですが、そんな動きはつゆほども見えません。

一方、葛西市長はゴルフ場をもっと青少年にも使ってもらえるようにしたい旨の発言をしていますが、ゴルフをはじめるのにかかる費用を考えれば、おいそれとカネを注ぎこむ親がいるとも思えませんし、それならオリンピック選手を輩出してきたスキーに使ってほしいというのが相馬中スキー部OBの切なる願いですし、それが赤字の百沢スキー場を救う手だてにもなります。
ゴルフかスキーかはさておき、ここで考えなければならないのは、厳しい財政状況の中ではスポーツにおいてもあれもこれもは通用しない時代であり、市として選択と集中で強化普及を図るスポーツは絞っていくべきだということです。
それからすれば、リベロ津軽やブランデュー弘前といったクラブやチームができたサッカーや聖愛高校の甲子園出場で盛り上がった野球、斎藤春香元全日本監督を職員として迎え入れているソフトボールといった競技がしやすい環境やさらに高いレベルをめざしていきたくなるようなトップアスリートの招へいなどに力を注ぐべきで、ゴルフ場が20年続いているからという理由で今後も必要というのはまさに役所の論理です。
先ほど署名の話を持ち出しましたが、仮に「はるか夢球場」を取り壊して新球場は作らないという話になれば、野球・ソフトボール関係者は率先して反対に立ち上がるでしょうし、多くの市民がそれを後押しすることでしょう。それだけの市民の合意が得られるものでなければ、続けるべきではないのです。

この思いが、ゴルフよりも野球を愛してやまないはずのウォーターフロント社の鳴海康安社長に届いてくれることを願っています。

2014年6月24日火曜日

予算特別委員会で見えるもの

本日、予算特別委員会が開会され、国民健康保険・岩木観光・上水道・下水道の各特別会計に、一般会計では当初に提案されたものに加えて岩木川市民ゴルフ場の資産購入のための再補正の2本がかかり、それぞれ原案どおり可決となりました。
いくつか気になることがありましたので、まとめておきます。

ゴルフ場での賛否

最初の補正予算で、ウォーターフロント開発株式会社=WF社から7月から来年3月までの9ヶ月間レストランや散水施設などを賃貸することが盛られ、これには無所属議員3名からその分を減額する修正案が提出されましたが、共産党とあわせて6名の賛成にとどまり、原案どおり可決されました。
続いて、WF社が特別清算するにあたってその資産を取得するとともに、預り金に対して5%=15000円の配当が行えるように特別清算補助金をつけて総額5100万円の再補正がかけられ、これには先の6名だけでなく一般質問から反対の論陣を張っていた佐藤哲(自民の会)、無所属市民の会の伏見秀人・菊池勲、4名会派の弘前市民クラブの加藤とし子・石岡千鶴子の2名などが反対に回りましたが、可決されました。
今日の議論としては、賛否にかかわるような新たな問題が浮かび上がることもなく、市側の答弁も完全ガードのために堂々めぐりで終わりましたが、ゴルフ場そのものを廃止せよという6名はさておき、賃貸は可であるが取得は不可という市議諸侯のうち、佐藤哲市議は持論を展開したので理解できるとしても、他の方々は質疑もせず討論もせずに反対でしたので、その理由がまったく伝わりません。
後ほどネットで書きこむ人もあるでしょうが、議場での発言が議員の本分ですから、これまでと違う態度で臨むなら必ず自分の思いを明らかにすべきだと思います。
もう一つ、傍聴席最前列にいた新聞記者も最後列の方々の賛否が確認しきれなかったようで、それだけにやはり議会だよりにおいて賛否を公表することが必要だと、改めて思いました。

二つの隠れ借金

先に審議された特別会計のうち、国民健康保険では6.9億円、岩木観光では2.2億円、あわせて9億円を超える繰上充用が行われました。
この繰上充用というのは、昨年度の歳入が足りないために今年度の分を充てるというもので、いわゆるカラ財源での対応でして、はっきり言えば隠れ借金です。
岩木観光というのは百沢スキー場の運営にかかわるもので借金の原因はリフト増設などの投資分を回収できないからですので、早晩一般会計での赤字解消を図るしかありませんが、国保の場合は前市長時代に必要な保険料アップなどの手だてを打たなかったのが葛西市長当選と同時に表沙汰になって保険料の値上げとともに繰上充用での先送りが行われるようになってから4年、状況は悪化する一方のようです。
対策としては、保険料収納率のアップや健康プロジェクトなどでの医療費抑制もありますが、最終的には新たな保険料値上げしかないと思いますが、今でも高く県内滞納者の3割を占めるという市の状況を悪化させるばかりでしょうし、難しい問題です。
これだけの重い問題であるにもかかわらず、国保では共産党の石田久市議のみ、岩木観光には質問一つもなく通ってしまうのですから、聞いていて歯がゆさを覚えるばかりでした。

スルーされた諸問題

一般会計の補正予算では、他にもいくつか多額の支出を伴う事業が盛られていましたが、それらのうち高照神社に隣接する津軽歴史文化資料館での追加補正8790万円と地域福祉基金に向けるはずだった大浦保育所などの売り払い収入を新設する「子ども未来基金」に振り替える1億1039万円には何の質問もありませんでした。
額だけ見ればゴルフ場より大きい支出ですし、資料館のは当時あったわけでもない馬場を作るという奇想天外なプランですし、地域福祉基金は地域支援事業という介護予防にかかわる事業に向けられるものですが、来年度はこれを拡充しなければならない介護保険制度の改悪があるのに財源対策は大丈夫なのか、一方子ども未来基金とはどういう方面で課徴するのか、問いたださねばならないことはいくつもあったはずです。
先の特別会計とあわせて、焦点が当たっている問題ばかりに集中して、大事な問題が議論もされずに無審査で通っていくのはいかがなものかと思います。

それにしても、この大事な議論を傍聴したのは4人という状況で、市にとって重要な問題であっても市民が傍聴にも来ないのであれば議員も無責任に終わらせてしまうのも仕方ありません。
ぜひ、都合のつく時間だけでけっこうですから、一度傍聴におこしください。そうしないと、議会は変わりません。

2014年6月23日月曜日

市民自治の先駆者・鳴海修に学ぶ

昨日は、長らく借りっぱなしになっていた『回想の鳴海修』を読了しました。
本を貸してくれたのは、修先生の孫であり私にとっては高校同期で一番信頼のおける医師である鳴海晃君でしたが、そもそものきっかけは修先生が若かりし頃に弘前における東亜連盟の活動の中核を担っていたと知ったからで、その手がかりになればとのことだったのですが、読んでみると生業である医師としてだけでなく、子ども会連合会を立ち上げ、町会連合会を組織し、市民会館建設の先頭に立ち、市民文化祭をスタートさせ、南高校初代PTA会長を務め、母校である東奥義塾理事長として石川移転による再建を果たすという、今の弘前市の基礎となっている多くのことを形づくった方だというのを、はじめて明確に知ることができました。
回想を記した方々も、弘前市史に名を残すような各界の代表者でしたが、七峰会元理事長である奥田稔先生が市連P事務局長時代のことを書かれていたり、妻の恩師である前田みき先生が子ども会のリーダーとして思い出していたりで、幅広いどころか私とつながるところまでのご縁のある方とは思いもよらず、その情熱あふれる活動と人間味があふれてくるエピソードに引きこまれてしまいました。
私も、市議時代に市民文化祭町会のあり方を論じてみると必ず鳴海修という人物に突き当たっていましたが、今では変容してしまっていることも多いのもわかりましたので、いくつかピックアップしておきたいと思います。

一つは、市民会館です。
当時、市役所が移転新築して旧公会堂が取り壊され、大きなイベントができる会場がなくなっていたことから持ち上がった市民会館建設ですが、当時子ども会連合会と町会連合会の会長を兼ねていた修先生は、「子どもたちのために市民会館を建てよう、そのために市民みんなで協力しよう」と町会を通じて毎戸10円の寄附を2年半集めたのだそうです。
この歴史も知りませんでしたが、子どもたちのためということに主眼を置いて当時の会館職員は貸し館よりも自主事業に工夫と努力を重ねて、ほとんどの職員が過労でダウンするほどだったそうですが、近年はそういった前向きな取り組みはなく、これに関連してスタートした市民文化祭も前市長時代に当初の骨組みが解体されてしまいました。
今、改修を終えた市民会館は指定管理が導入されようとしていますが、同じく「子どもたちの笑顔」をメインテーマに進められている葛西市政で、建設当時の思いやエネルギーが復活させるためにも、このような歴史を振り返る必要があると思いました。
もう一つは、やはり町会連合会です。
昭和の大合併で11町村が新たに弘前市となり、今の3市町村合併以上のギクシャク感が充満していた中で町会連合会を組織し、そこで市と町会との距離を縮め新市建設のための議論を重ねようという意図を持って市政懇談会をはじめたのも修先生なのだそうで、当時は会長自ら司会役として議論を促していたのだそうです。
また、当時はゴミの問題で衛生状態が非常に悪かったそうで、この解消のために市職員と町会連合会とで一緒に先進地視察をし、そこから対策を話し合って実行していったというエピソードを知ると、町会連合会の方が市を引っぱっていた時代の様子が伝わります。
それがあって今でも「町会連合会は自主独立」とは言っていますが、低調な地域ごとの陳情の場となっている市政懇談会や、市を動かすような取り組みどころか市からの補助金でようやく運営している状況の連合会の現状を見るにつけ、町会から市政を動かす必要性を痛感します。

修先生は、これだけ市民の先頭に立って活動し、藤森・福士両市長を支える立場でもあったことから「陰の市長」とも呼ばれていたそうですが、公選時代の教育委員選挙に出た以外は自らが政治の場に出ることをよしとせず、周りの仲間にも政治より大事なのが町会活動だと訴えていたそうで、1971年に町会連合会副会長から市議に立候補のあいさつにきた渡辺寿一氏に、
「市会議員になったって一体何になるんだバ、われわれが今やっている町会の仕事の方が議場でやる議員活動よりはるかに有意義だし、実感もあるンダネ、本物ダネ」
とおっしゃったそうですが、これは町会長という立場でできることを知った上で市議としての再起をめざす私としては、市民とともに行動することが議場で発言するより大事なことだとの戒めにしたいと思います。
蛇足を顧みずにもう一つ心に残ったのは、最後の見舞いにきた甥である鳴海康安先生に、
「康安君、政治サはまるなよ。なんでも話サのって、なんだかんだやるなよ。それよりしっかり医者サマやれよ。」
との言葉をかけたことです。康安先生には、この遺言を思い出して市民ゴルフ場の始末にあたっていただきたいと心から願っています。

それにしても、まさに巨星としか言いようのない大人物・鳴海修先生ですが、その足跡を知りわずかでもご縁があることを頼りに、少しでも近づけるようにめざしていきたいと思います。

2014年6月22日日曜日

典礼会館を許したもの

本日、オープンしてから初めて瓦ヶ町にできた典礼会館での通夜に参列しました。
当初から疑問に思っていましたが、実際に足を運んでみて中心街にあるべきでない施設だと痛感しましたので、中心市街地活性化とからめて考えてみたいと思います。

初めてということでいつもより少しは早めに到着したのですが、敷地内の駐車場はすでに満車で臨時駐車場となっている中土手町の「丸幸あかいし」跡に回るようにいわれたのですが、細い一方通行を土手町の通りに出るまで時間がかかった上にこちらも満車で、駐車料金を払って中三立体駐車場に置かざるを得ませんでした。
入ってみると、わざわざ記帳と称してカードに1枚ずつ書かせるのに個人情報の懸念を感じ、式場内の導線も逆でなじめず、全国チェーンへの嫌悪感を感じながらだったせいで、どうにも追悼の思いが薄まってしまいました。
全国チェーンでありながら、駐車場への対応が不十分であったり、そもそも土手町という弘前を代表する商店街のすぐ隣に葬儀というしめやかでなければならない施設を建てるというセンスやマーケティング能力のなさにあきれて帰ってきたのですが、逆に考えてみれば自分の持つ土地がどういう場所か重々承知しているはずの地元の地主が目先のカネほしさに売ってしまっているわけですから、始末に負えないのはこちらの方です。
もう少し踏みこんで考えると、このエリアは中心市街地活性化事業計画の対象となっているのですが、そこに人が足を運ぶとはいえ、喪服に身を包んだままで街をにぎわせるわけにもいきませんし、それどころか買い物に来る人たちでも無縁であれば近寄りたくはない建物があることは、客足を遠のかせることにもなりかねません。
それこそ、来週の日曜日には土手町で「よさこい津軽」があり一番近い中土手町交差点が最大のステージ箇所であるだけに、仮に葬儀の日程とかち合っていたら、弔う側も踊る方も気まずいだろうと思います。
それだけに、市としても建設の計画や実際の建築確認が出てきた時点で典礼会館側と話し合って事業中止を求めるべきだったと思いますし、それをせずに許可してしまっているのは、「土手町がどうなってもよい」という街に対する未必の殺意があったと言われても仕方ありません。
もしかすれば、中活を推進する商工観光部門と建設部との間で意思疎通がうまくいってなかったのかも知れませんが、先日の有料老人ホームの件でも建築確認での制限を提言したとおり、ハードの面からまちづくりのハンドルを切る必要があるので、私からすれば建築指導課こそがすべての政策を一番理解していなくてはならないセクションだとさえ言いたくなります。

いずれにしても、市民にも自分の利益だけでなく市としての利益不利益を考えて行動することを求めたいですし、市の職員にはかかわっている事業を他人事ではなく自分事として考える態度で臨んでほしいと思います。
ちなみに、今日の仏様は現職の市職員でしたが、葬儀の手伝いや参列した同僚の皆さんに気づかせるために故人がこの会場を選んだのだと思わずにはいられません。

全国のヤジ批判が届かない弘前市議会

都議会でのヤジ問題は、当然のことながら収まるはずもなく報道番組で特集されたり全国の地方議員からも自らの議会の状況と引きくらべた発信が続いています。
金曜日にヤジと拍手のことをアップしてから午後の傍聴をしたのですが、この議会にかかわるニュースが届いていないかのようにヤジが次々と飛びかい、それを議長が制止するわけでもなく、発言中の議員から注意があるわけでもない、まったく意に介さない空気のまま閉会となりました。

これが、弘前市議会と社会との距離感を如実に示していると思わざるを得ません。
明日は常任委員会で傍聴ができませんが、明後日の予算特別委員会は傍聴が認められますし、何といってもゴルフ場問題での質疑があり、それに対して誰が賛成し誰が反対したのかがわかる機会でもありますので、ぜひ市民の皆さんには足を運んで、議論の行方とヤジの実態を見届けていただきたいと思います。

2014年6月20日金曜日

スポ少と学校教育のはざまで

別件で正午に来庁する予定もありましたので、久しぶりに菊池勲市議の一般質問を傍聴しました。
質問項目は、順番にスポーツ・市職員の仕事力向上に国民健康保険でしたが、市民にとっては一番かかわりのある国保のことでは健康であれば保険料を安くするインセンティブの提案をしていましたが時間切れで終わってしまったのが残念でした。
ただ、スポーツについてはスポーツ少年団いわゆるスポ少について質問を重ねていましたので、現実にスポ少のコーチをしている立場として、スポ少と学校教育のかかわりやあり方について考えをまとめておきたいと思います。

菊池市議の指摘では、スポ少が小学校の部活動から切り離されて以来、保護者中心の指導者による勝利至上主義がはびこり教育的意義が失われていることを教育委員会として是正していくべきではないかということで、スポ少側から学校との話し合いの機会をもうけてほしいという声も聞いているとも発言していましたが、相馬スポーツ少年団の代表そして陸上のコーチとして7年目となった私からすれば、相馬小の状況とは全然違うと断言できます。
相馬小では、陸上と野球はそれぞれのスポ少単位団として存在していて、他にマラソン中心のアスリートクラブとバレーボールのチームがあり、この二つは種目の協会には団体登録していますが、スポ少ではありません。
これら4つのクラブを指導しているのは、保護者ではなく地域の競技経験者ですし、野球の場合は勝利至上主義というよりも試合至上主義で毎週試合が組まれているのには疑問を感じますが、それぞれの指導では勝つためよりは少しでもスポーツに親しんで好きになってもらうことに重きを置いており、それ以上にスポーツを通じてルールを守ることを厳しく指導しているのは、4つとも共通していると思います。
学校とのかかわりでは、体育館やグラウンドの使用調整のために年度初めに活動予定を提出すこと、登録人数に応じてPTAから補助金が出るくらいで、指導の内容や子どもたちの体調のことで学校から注文もほとんどなく、それぞれのクラブで主体的に活動しているので問題はないといえる状況です。
菊池市議には自分なりの情報網があり、それをふまえての質問だったとは思いますが、自分の周りだけでない情報収集に努めれば、もう少し違った角度から考えたり切れこめたと思うだけに残念です。

私にしても陸上のことしかわかりませんが、少子化や保護者・指導者の負担感の増大で活動が狭まってきているというのは事実だと思いますが、これは部活動として教員が指導にあたる中学校でも同じことですし、現に相馬中野球部は単独ではチームが作れず合同チームで大会に臨んでいます。
そこで問題となるのは、中学校の場合は以前からある部活に縛られて、赴任した先生が経験の有無にかかわらず顧問を振り分けられていること、さらに生徒も部活全員参加で好きでなくても文化系を含めてどれかに所属しなくてはならないという、二重の強制力が働く場で本当にスポーツや文化活動を楽しみ何かを学ぶことなどできるのかということです。
スポーツと教育という意味では、無理がかかっている中学校の方がより問題であるし、参加したい子がやりたいスポーツでがんばり、全員がスポーツが得意というわけではない先生方に無理をさせずに済む小学校の方がまだましと言えます。
もともと、スポーツは余暇と語源を同じくするもので、そこから何かを学ぶよりそれ自体を楽しむことが大事なのですから、教育とのしがらみを断ち切った推進計画を策定してはという大胆な提言であれば傾聴に値したと思います。

それにしても、一人の議員の一つの諮問項目だけでもこれだけ分析評価できるのですから、もっとさまざまな分野のことを一つずつ腑分けして提言を重ねていきたいと思います。

ヤジと拍手は議会のバカ

昨日、都議会でのヤジ問題がニュースとして大きく取り上げられました。
男性が圧倒的優位にある議会という場での女性議員へのセクハラ発言という問題もありますが、そもそも不規則発言を「ヤジは議会の華」という旧い考えで見過ごしているからこそ起きる問題です。
傍聴席からのヤジへの感想と、あわせて傍聴者には禁じられている拍手のことにもふれておきたいと思います。

市議時代に私が不規則発言をしなかったかといえば、していたのが事実です。
ただ、それは行政側とりわけ前市長の発言や態度が腹にすえかねて発してしまったものがほとんどでしたし、間違っても特定の議員をおとしめるようなヤジをした記憶はありません。
逆によくヤジの対象にされていましたし、切りこむつもりの質問の際に声が上がったりするのは的を射たと認めてもらった感じがしてうれしかったですし、こういう議場の盛り上がりをさして「議会の華」といいう表現が生まれたのだとは思います。
ただ、先月の経営計画や補正予算審議など時間が長引く審議の際には「早く終われ」という声が何人からもかかっているように、質問の中身に対してではなく、自分が飽きているからといった感情にまかせてのものがほとんどです。
この時点でも議事をつかさどる議長や委員長は厳しく制止すべきだと思いますが、長年の慣習が染みついてしまって野放しにしているからこそ、上記のセクハラヤジまで出てくるのですし、発言したと思われる都議会自民党では発言者を特定して厳しく再発防止に努めることもしないのだと思います。

ところで、傍聴者は議員と違って議案の資料が配付されることもなく、それが掲載されている市のサイトをiPhoneやiPadで閲覧することも許されていませんので、手持ちぶさたで傍聴しているだけに、せめて野次ったり質問に対して拍手したりできればいいのですが、当然のことながら堅く禁止されており破った場合には退場を命じられることになっています。
上記のとおり、ヤジも横行していますが、弘前市議会では一般質問で登壇する際に同会派を中心に拍手で送り出し終われば拍手で迎える慣習があります。これも、考えてみれば傍聴者には禁じられていることを議員はし放題なわけで、まったく理不尽な話です。
私は、拍手で激励されなくても全力で質問するのが当然のことだと思っていましたので、誰にも拍手したことはありませんでしたが、ついつい感情が高ぶって発してしまうことがある不規則発言とは違って拍手するかどうかは自制できることですから、こういうことも議員間の話し合いでやめていくべきものだと思います。
実は、5月の傍聴の際に昼食休憩があける前に傍聴席に戻ってみると、早めに議場入りして私がいるのに気づいた先輩市議から声がかかり、委員長席に座った議員からは「何かあれば質問を」とまで言われましたが、それに足して発言を許されていない立場として口に指をあてて制止のポーズで返しておきました。
これが、議場の中では自分たちが主役と思っている者の傲岸不遜な態度です。まったくもって、バカとしかいいようがありません。

ネット中継やFMアップルウェーブでの録音放送で議論の流れは知ることができるようになりましたが、こういう時代遅れなことは傍聴しないとわかりません。
ぜひ、一度は足を運んで確かめてくださることをお勧めします。(ガッカリするので、あまりお勧めもできませんが)

2014年6月19日木曜日

今さらながら市庁舎問題

昨日は傍聴しませんでしたが、今朝の地元紙・陸奥新報によれば、畑山市議が市庁舎増築について質問をしたようです。
ちょうど昨日、その件で市民の方の嘆きをネット上で見つけました。
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今の弘前市の財政問題はどうなっているんでしょうか。
公共機関の建て替えラッシュには、本当に驚きました。
市役所の駐車場を作り、有料化するという、考えられないことを決定してしまっています。
あと、財政難だというのに岩木にある高照神社に大きな資料館を作ると報道されています。
私には全く理解できない、旧第九師団の資料館をわざわざ道路側に寄せる工事。市民税の無駄使いをしているとしか思えませんでした。
何故、こんな無駄な工事ばかり着工しているのか理解できないです。もっと詳しい説明を弘前市はしていないのでしょうか?
このまま市民税が高くなり続けるのでしょうか。市議会で追及してほしいです。困るのは、やはり市民だけなのでしょうか。
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この問題の経緯を説明しますと、昨年度のうちに駐車場立体化などの設計委託料1440万円が可決され、3月の骨格予算で約6.1億円の建設費が可決、さらに5月の補正予算で庁舎増築3.6億円弱などの追加があり、総額で9億6754万円の事業費となっています。
先日、近接している塩分町会には説明会があったようですが、これまで全市民向けの説明会はなく、さらにヒロロスクウェアCMや市民ゴルフ場問題の陰に隠れて大きく報じられなかったこともあり、多くの市民は知らないままなのだと思います。

畑山市議への五十嵐部長答弁では耐震問題への対応も必要とありましたが、現在の市役所は本館新館ともに前川國男建築という価値ある建物であり、これを維持活用していくためには補修工事は当然必要だと思います。
ただし、市役所として使っていくべきかはまた別の問題で、今後の広域行政やさらなる市町村合併を見すえた場合は移転も検討するべきだと思いますし、その前に無用な支出をすべきではないと思います。
それだけ時間をかけて議論すべき問題であるのですが、来年度が期限となる合併特例債を使うには早い決断が必要ということで、昨年度から計画が進んでいるわけです。
このことも市民にはわからないことでしょうから、何といっても説明を尽くすことが大事だと改めて思います。

ところで、その質問をした畑山市議は、この件での3回の議決すべて賛成しておきながら、今さら問題を指摘するというのは、その議決に際して議論を尽くしていないことを自ら証明するようなもので、いかがなものかと思います。
市民の皆さんには、こういうところも見極めていただきたいと思います。

2014年6月18日水曜日

地方政治に党派会派は必要か?

今日も一般質問は続行していますが、午前中に町会長としての役目があり、午後もめぼしい質問がないので、今日はスルーするつもりで昼前のニュースを見ていましたら、むつ市長選に出馬の意欲を示していた越前県議が撤退する会見が流れていました。
すでに地元紙では報じられていましたので驚きはありませんでしたが、気になったのは党人として自民党の指示に従うというくだりでした。これでわかるのは、出馬は自分の思いだったが党から言われればあきらめるという姿勢で、こんな自主性のない人が政治にかかわり市長としてトップをめざそうとしていたのが信じられません。
それにしても、自民党とはいっても国政とは違って地方の保守的な考えの人たちの集まりというのが実態ですから、これはいわば党派ということになりますし、議会でいえば同意義の存在として会派というものがあります。
この機会に、地方政治における党派会派の存在意義を考えてみたいと思います。

現在の弘前市議会は、憲政公明・望雲会・弘前市民クラブ・自民の会・無所属市民の会に日本共産党の6会派と無所属4名という構成になっています。
ここで注目すべきは、自民の会と名乗る会派がありますが、他の会派にも当然自民党籍を持つ人がいますし、憲政公明には2名の公明党員、市民クラブには2名の社民党員がいるとおり、会派というのは党派とイコールではありません。
逆に、会派はバラバラでも共産党の前に集めた5会派は、先の市長選において葛西候補支援の議員団を構成し、5月の補正予算採決にあたっても5会派共同での討論をするなど、いわゆる市長「与党」という党派そのものの行動をしています。
それならば一つの会派でよいのではないかというのがもっともな見方ですが、政策的な相違ではなく議長や委員長といった議会内のポストや○○組合や□□審議会といった宛職を手に入れるために合従連衡しているのが実情です。

そんな意味のないものは廃止すればよいと思いますが、私自身も議員時代は会派に所属していました。
それは、会派に所属しないと議会の方向性を話し合う会派代表者会議で発言権が得られないですし、公式な場である議会運営委員会にも席が持てないからでした。
会派は悪であり見直すべき存在ですが、それを外で遠吠えしても変えられないので、会派に入って少しでもよい方向に向けようと思っていたのです。
ただし、5人会派の時期も2人になった際も会派で議決を拘束しないルールでしたので、会派の中で意見が違えば賛成反対に別れることもしばしばあり、話し合いの場に参画するという実利を得ながら自らの意見を貫くという姿勢を守ることができていました。
次期の選挙でも多くの議員は再選される形になりますので、一気に会派をなくすというのが実現するとは思えませんが、当選の暁には会派主義で進めないことをまず主張し、それがかなわない場合は前回と同じく議決拘束をしない自由な会派を構成することで臨みたいと思います。

こういう、議会の慣習によって改革が進んでいかないことも明らかにしながら、皆さんにも考えていただきたいと思っています。

2014年6月17日火曜日

ゴルフ場債権者の皆様に告ぐ

一般質問の初日、最初の3人がゴルフ場問題を取り上げるというタイムリーな抽選順だったので、冒頭から昼をまたいで傍聴しました。

最初の越・栗形両市議は、当然反対の論陣を張ると思ったとおりの展開で、感情をこめて追及はしたものの私が先に指摘したものを超えるものでなく、まったくの期待外れに終わりました。
午後は、市政与党を自認する最大会派・憲政公明の小田桐慶二議員でしたが、資産の取得や特別清算補助金を正当化する方向での議論でありながら、しっかりと唐突な提案で慎重な審議が必要だとか市民に対する説明責任といった苦言を呈し、さらには債権者の2/3以上の同意が必要される特別清算について同意が得られない場合はどうなるのかと問いただし、その場合には破産手続きに移行するので補助金も執行されないという答弁を引き出しました。
これは、昨日の市民ネットワーク幹事会でも出なかった論点であり、本日一番の収穫だったと思います。

これをふまえて、数百名の債権者である市民の皆様にお願いがあります。
26日に予定されている株主総会もしくは債権者の集まりであるゴルフ場愛好会の場で、預り金30万円に対する配当金を辞退し、特別清算ではなく破産による終結に導いていただきたいのです。
本日、葛西市長は20年前にゴルフ場建設に共鳴して出資してくださった市民の方々の思いに報いたいという発言をされていましたが、出資というものにリスクがあるのは当然のことですし、ゴルフを愛好しているのであれば20年のうちに何度か会員価格でプレーしたこともあるでしょうから、30万円を出した対価を受けたこともあるはずです。
それが経営破綻して特別清算するにあたって、円滑に進めるために資産の取得や補助金を出すのだという答弁が繰り返されましたが、これはウォーターフロント社の現有資産では5400円しか配当できないのを市からの補助金862万円をもって1万5千円の配当金とするということですから、皆様は市からたかだか1万円を上乗せしなければ言うことを聞かない金の亡者のような扱いをされているわけです。
もし、それは情けない話だと思うなら、どうか特別清算や補助金受領をよしとしないでいただきたいのです。

議会で議決する立場でない私ができるのは、皆様にお願いすることしかありませんし、社長である鳴海康安先生にも思いを直訴するつもりです。
債権者ではない市民の皆さんは、この問題をどう考えますか?

ゴルフ場問題、重大な局面

6日に開会された6月定例会ですが、今回の焦点はゴルフ場の指定管理およびこれまでの指定管理者であったウォーターフロント社への救済策となります。この問題を考える市民ネットワークの幹事会で今回の提案が抱えている問題の大きさが明らかになりましたので、一般質問の前に皆さんにもお知らせし、関心を持って傍聴に足を運んでいただきたいと切に願っています。

まずはリベロ津軽が候補となっている新しい指定管理契約ですが、6日に示された案では8月からの指定管理で1471万円弱に加えて燃料費・光熱水費に土地建物の借上料として466万円も支払われることになっています。
これまでの指定管理料が500万円だったことからすれば大幅なアップですし、今年度は年度途中からということを考えると通年での管理となる来年度以降は2000万円を超えてもおかしくないだけに、10年間の契約期間で約2億円もの支出となります。
ネットワークからの公開質問状でもふれた、ゴルフ場は都市公園なのか社会体育施設なのかの協議もされていませんし、今年は利用者が増え今後はニュースポーツでも活用していくとしても市民の間でゴルフ場は必要だというコンセンサスが共有されているとはいいがたい状況で、これだけの支出を行うのにどれだけの市民が納得するでしょうか。
そもそも、市の施設を有効活用するために指定管理をするはずなのに、市が借りた建物や設備を指定管理させるというのは本末転倒だと思います。

ところが、13日になって示されたのは、今年度中に建物設備などをウォーターフロント社から取得するとともに、特別清算するにあたっていわゆる会員権にあたる預り金を供出している市民へのためと理由をつけて補助金までつけるという無茶苦茶な案でした。
この取得にあたっては不動産鑑定士による評価に基づいて4240万円弱が計上される見こみですが、通常は清算などにかかる物件に関しては正常価格では取り引きされないものだそうで、鑑定士も良心に耐えかねてか参考までにと付記して通常では当初建設費の1/10以下となるのが現状だと評価書に記しています。
仮に指定管理を認めるとすれば、この建物設備などを早めに適正な額で取得して市が所有しているゴルフ場と一体として取り扱えるようにするのが当然だと思いますが、取得は今年度中に行うとして当面は先にふれたように借り上げというのですから、同じものに対して二重の支出となってしまいます。
さらに、配当金確保のための補助金862万円が盛られていますが、残念ながら出資した本人に責任があるものですし、市はこれまで責任はないとしてきたことと整合性がとれない支出をすべきではありません。これが通るなら、市と契約していた事業者から破綻しそうなので救済してくれと言われれば助けなければならない悪しき前例を作ることになります。
第一、配当率は5%と見こまれていますが、30万円が1万5千円にされてよかったと思う人はないでしょうし、支出してもしなくても市に対する不満を持たれるのは変わらないのであれば、出さずに恨まれるのが責任を取るということだと思いますし、私としてはこういう見え透いた救済をしてもらうことなど社長である鳴海康安先生は望んでいないと思うだけに、誰のためにもならない補助金だとしか思えません。

それにしても、この取得や補助金については補正予算案という成案としてはなく「清算に向けた取り組みついて」という形で示され、その文中にも「前例もなく礼を失する恐れなしとは言えぬもの」と書かれているとおり、議会軽視と言わざるを得ない進め方をされているばかりでなく、借上料が計上されているのに取得もするという一事不再議の原則にも引っかかる重大な問題だけに、議会の対応も注目です。
思えば、最初に指定管理料が計上された際には、議会が空転し最終的には了解が得られるまで予算執行しないという言質を取って通過させたものでしたが、こんな暴案をのうのうと通すのであれば、まさに議会の自殺行為です。

それだけに、今日からの一般質問だけでなく来週火曜に予定されている予算特別委員会での審議そして議員各々の賛否に関心を持っていただきたいと思います。

2014年6月16日月曜日

有料老人ホーム、いりますか?

先日、選挙違反のことでふれた平川市長選事件ですが、今日の朝日新聞に社会福祉法人と政治という観点で大きく取り上げられていました。
記事と同じ内容の指摘も簡単にしてありますが、弘前市の場合は介護保険にかかわる入所施設は全国に比べて非常に高い整備率であること介護保険料の高騰を防ぐのには最も効果があることから、整備を認めていませんし今後も認めないと思いますので、ここまでの事例は起きないと思います。
それなのに、市民の皆さんの実感では老人ホームが増えていると思う方が多数であると思いますが、そう思っているのは「有料老人ホーム」という名の老人アパートなのです。
今回は、有料老人ホーム(以下、「有料」と記します)の問題点を考えてみたいと思います。

2000年の介護保険制度施行以前からこっそりと存在していた「有料」ですが、弘前市では3年経った第2期介護保険料が高騰したことをふまえて、指定の入所施設である特別養護老人ホーム・老人保健施設、これに続いてあっという間に全国最高水準の整備率となったグループホームの建設に関しては許可しないことにしました。
そこで、事業を拡大したい介護事業者やこれまでの事業が立ちゆかなくなって参入を図った異業種が目をつけたのが、「有料」と入所施設ではない扱いになっている短期入所=ショートステイです。
「有料」の場合は、それ自体では指定の施設ではないので家賃収入しかないのですが、自分たちで経営もしくは連携しているデイサービスに通わせたりヘルパーを派遣することで介護保険収入も入る形にして経営が成り立つようにしています。
デイやヘルパーは、在宅サービスであるとともに事業認可するのが県なので、市の介護保険課では仮に「有料」とセットになっているとわかっていても意見書を出さずに申請をさせないという荒療治まではできないでしょうから、もし市が野放図な「有料」増殖を食い止めたいと思うなら、建物としての建築確認を出さないという別件逮捕のような手段しかないのです。
葛西市長は、2期目にあたって次期介護保険料は上げさせないと口にしていますが、「有料」に付随するデイやヘルパー、そしてこれも県の認可であるショートが増えている現状では上がらないわけがありませんし、他の財源を投入して額を抑えるのではごまかしでしかありませんので、この件では過ちを認めた上で市民にも「有料」規制をするへの理解を求めながら手を打つべきだと思います。

ところで、ご存じのとおり福祉介護にかかわってきた立場であるのに、なぜ事業者側に立たないのかと思われる方もあるでしょう。それは、「有料」が社会のためにならないからです。
私が知っている限り、介護保険制度以前からある特養や老健は、立地している地域とのご縁がしっかりとあり、行事に地域のかたがたを招いたり自分たちが地域に出て行ったりということを多かれ少なかれやってきたと思いますし、そのことで社会福祉法人もしくは医療法人としての理念を実現してきたと言えます。
しかし、近年増殖した「有料」は地域とは隔絶した存在で、交流もなければ住民として町会費も払わないでいるところがほとんどですが、それが施設ではなく老人アパートであるだけに福祉の観点から改善を求めることもできません。
こういうところに、介護の負担を解消するために高齢者が押しこまれてしまえば、送り出した側の地域にも住み続けてきた高齢者がいなくなるということで、こちらでもコミュニティが崩れていく要因となってしまいます。
二重の意味でコミュニティを崩壊させていく「有料」を、政治にかかわりながら地域を守っていく立場としては認めるわけにはいきません。
それでも介護に困っている人には必要なんだから、という反論も当然あるでしょうが、訪問看護ステーションを経営した際には、末期ガンで治療の施しようのない方が退院を迫られて自宅に帰されたのをヘルパーとともに朝夕訪問を組みこんで対応し、相馬という小さな地域でも2年間で6件も看取ることができ、そのたびにご家族から「どうなるかと思ったけど、家で看取ることができてよかった」とお礼を言われる経験があるだけに、介護保険制度の本旨である在宅介護で対応できるし対応できることを市民にもっと知ってもらうことが大切だと思っています。

そもそも、介護は40歳以上から保険料が徴収されても、実際にサービスを受けるのは65歳以上でも2割にしかならないのですから、負担だけで終わる人が多い仕組みです。
それだけに、介護保険料を抑えるというのは必要なことですので、そのためにはどうあるべきか、皆さんにも考えていただきたいと思います。

2014年6月15日日曜日

スポーツ施設、どうする

W杯が開幕しサッカー熱が盛り上がっていますが、今日はこれにからめてスポーツ施設の問題を考えたいと思います。

弘前市でも、ブランデュー弘前がJリーグ入りをめざしてがんばっています。
そこで問題となるのがホームグラウンドとなるスタジアムですが、今の運動公園の陸上競技場ではJ3でも基準を満たせないものだけに、所有者である市がどれだけ思いを受けとめて整備するかにかかってきます。
現実に今秋から陸上競技場は改修工事に入るのですが、これが陸上のトラックの補修なのか、サッカーやラグビーの公式試合ができるレベルでのフィールド改修もあるのか、スタンドやロッカールームといった施設の増強もあるのか今のところ不明です。
もう一つ、ブランデュー関係者などから隣接するサブグラウンドの人工芝化が要望されていますが、市がもくろんでいるという陸上の全国大会誘致のためにはきちんとしたサブトラックが必要になるはずなので、ここをどういう位置づけにするのかも重大な問題です。

サッカーも応援したい、しかし陸上クラブのコーチをしている立場としては陸上競技優先で考えてほしいという悩ましいところですが、このことを市から市民に問いかけたり考える機会がないのが何より問題だと思います。
サッカー・ラグビー・陸上ばかりでなく、サブグラウンドで練習や大会を開催しているグラウンドゴルフなどのニュースポーツまで声をかけて一堂に会しての話し合いの場を持ったり、関係者ばかりでなく一般市民でスポーツに親しむ人やスポーツに関心がなく施設整備がムダと考える人まで含めて意見を聞くことで、市として最大多数が納得できる結論を見いだすことで、市にとってスポーツにどれだけ力を入れるべきかを考えていくべきです。
このことは、今度の定例会でも問題となるであろう市民ゴルフ場でも言えることです。

市が動かないのなら、私が声をかけて皆さんと話し合う場を持ってみたいと思いますが、いかがですか?

2014年6月13日金曜日

カラス問題に根本的な対策を

今日は午後から市民会館での高P連県大会に参加するのですが、市民や観光客以上に弘前公園にあふれているもの、それがカラスです。

市では市民会館のある近隣町会とも協働してカラス対策に取り組んできていますが、なかなか改善されたという成果につながっていないのが実情です。
カラスが賢いから、といってしまえばそれまでですが、実際は根本的な対策を取らずに対症療法だけに策を弄しているからだと思っています。
たとえば、いわゆる旧市内の多くの町会でのゴミ出しは家の前に出したのを業者が一軒ずつ回収していくという方法のままですが、これではカラスに突っついてくださいと言っているようなものなのに、そこに手を打とうという話は聞いたことがありません。
住宅なども建てこんでいるエリアではありますが、町会での話し合いによって回収ボックスを設置できる場所を確保させたり、戸別回収を継続するのであればそのエリアはカラスが活動しなくなる夜間回収とするといった町会レベルでの負担を検討すべきだと思います。
そこまで徹底する気がないのは、場所を確保しやすいはずの公営住宅が建ち並ぶ城西団地でも路上にゴミが並んでいるのからもわかりますが、旧市内は観光客が散策することもあるだけに、景観という観点からも見直しが必要です。

こういうキツい話だけですと夢がないので、もう一つ提案をしたいと思います。それは鷹匠による対策です。
夢物語のように聞こえますが、佐賀県には高校生の頃から活躍している石橋美里さんという鷹匠がいますし、弘前城下にはその名も鷹匠町とピッタリな町まであるのですから、市で鷹匠を養成して鷹匠町に住んでもらうくらいのインパクトのある取り組みをしてほしいと思います。
それ自体では効果は少ないかも知れませんが、市として取り組んでいることをアピールし、カラス対策というマイナスイメージをプラスに転換する点では、確実に効果があると思います。
ちょうど、本日の記念講演は日本一の樹木医・小林勝さんですが、桜守ばかりでなく鷹匠もいるお城だと、さらにステータスが上がること間違いありません。

このような、すぐに対策すべきこと夢見るような話、どちらでもけっこうですので、皆さんの考えるカラス対策やカラス被害の実情もお知らせください。

2014年6月12日木曜日

政治家のキャリアパス

先日買ったばかりの『市議会議員に転職しました。』をさっそく読了しました。
著者は、横浜市議・伊藤大貴さんと多摩市議・遠藤ちひろさんですが、伊藤さんとはTwitterを通じた交流があり立場を超えて一緒に図書館の最前線を視察したこともある仲だけに、関心と共感を持って読みました。上記リンクの書評にも記しておきましたが、ビジネスの世界で政治の壁を感じたことのある人にはご一読をお勧めしたい充実の内容です。
その中で、伊藤さんは政治家のキャリアパスについてチラッとふれていましたが、私もこの件では思いがありますので、この機会に明らかにしておきたいと思います。

前回の市議選では、議会改革一本でのマニフェストで臨みましたが、その最後に首長ばかりでなく議員にも任期制限を、と入れていました。
最近では、自ら制定した多選禁止条例を踏みにじって4選を果たす区長まで出てくる始末ですが、条例で定めないまでも古くは熊本県知事・細川護煕さん、三重県知事・北川正恭先生のように待望されながらも退く方や、実際に条例制定して多選を禁じた首長は存在したものの、議員での任期制限はありませんでした。
私は、若くして議員になられた時には気概に燃えていたはずなのに期数を重ねることで議会の慣習にとらわれてしまい、地域への利益誘導をすることで盤石な選挙態勢を作って、職業としての議員というダークサイドに転んでいる方を見るにつけ、議員とは政策全般を議論できるプロでなければならないが、プロである以上ある一定の期間で引退するけじめが必要だと思っていました。
議員という立場を失ってみると、議会の中で考えていることと地域社会の常識は違っているのが見えてきますし、これが長くいればいるほど気づかなくなるだろうと確信しているところですので、時代の流れの早さや49歳という年齢のことも考えると、次期当選できたとしても2期8年でピリオドを打つつもりです。
ついでに言っておきますと、曲がりなりにも市議を経験し、地元・相馬地区に県議不在となっていることで「上を狙えば」と言ってくださる方もありますが、住民と直接向き合う市町村でのやりがいは感じても国と市町村の間で存在する意義が見えない県での仕事をしてみたいとも思いませんし、市町村から県そして国会と上がっていくのが政治家のステータスだとも思っていないことをご理解いただきたいと思います。

実は、伊藤さんとは議員後のキャリアパスについても意見を交わしたことがあるのですが、30代の彼らには場所を変えて政治から抜け出さない生き方ではなく、政治で身につけたもので実社会でまた活躍してほしいと思いますし、今回の出版のようにさまざまなところから声がかかるだけの資質と声をかけてくる方の環境もありますから心配はいらないと思っています。
ただ、私のように政治の道をあきらめないまま地域での活動にも取り組みたいと思った場合にはフルタイムの仕事に就くわけにもいきませんし、彼らと同年代でも地方であればそのキャリアを生かした仕事も中々ないだけに、「落ちてしまえば、ただの人」という政治から離れる不安が議員へのしがみつきを生み職業化させてしまうのだとも思います。
それだけに、社会としても政治のキャリアが生きる受け皿を用意していく必要もあると思いますし、在職中から自ら市民としてまちづくりなどに参画して「ただ者でない」という評価をいただけるような活動をしていくべきだと思っています。

それより何より、今は「ただの人」の自分こそ、しっかりしないといけません。

2014年6月11日水曜日

エリア担当制度、知っていますか

弘前市には、エリア担当制度という地区ごとに担当職員を決めて総括的に相談に乗ったり活動する制度があります。
私の住んでいる相馬地区においても、地区を3ブロックに分けて3名の職員が担当することになっていますが、相馬の場合は総合支所があることもあり、エリア担当ではなく直接支所にかけ合うことがほとんどですので、機能しているとはいいがたい状況です。
それでも、私の場合は町会長として市から情報提供がありますし、自分たちのマニフェストから換骨奪胎されて生まれたものだけに関心もあるのでわかりますが、そうではない一般市民からすれば誰がエリア担当なのか、それどころかエリア担当制度って何?というところでしょう。
上記のリンクを見ていただければわかりますが、制度の概要や2年前にまとめられた活用事例などはありますが、これでは市民が直接相談したいと思っても一旦担当課に問い合わせてからになるという、まさにお役所仕事な状態です。
市からすれば、サイトに「各課へのお問い合わせ」があってネットから直接問い合わせができるからいいじゃないかと思うかも知れませんが、私にしてみても問い合わせてみたら担当課ではなかったということは再三ありますし、きちんと回してもらえたにしてもそれだけのタイムロスは発生するだけに、市の機構分掌を理解しているエリア担当が取り次いで動いてくれる方がよっぽど助かるはずですので、○○町会のエリア担当は誰でアドレスはこちらという情報をサイトで公開すべきです。
この件だけではなく、私個人としては市職員には全員メールアドレスが振り当てられていますし、当然ながら公務のためのアドレスなのですから、セキュリティやネット攻撃対策をした上で全員分をネットで公開すべきだと思っています。

話をエリア担当に戻しますと、いざ情報公開しても直接接したことのない関係では相談もしづらいでしょうし、そもそも担当課で課長補佐や係長といった実務を切り盛りする立場にある人にまったく別分野の相談をするのも気が引けることでしょう。
これを解決して機能するために、担当職員となる年齢階級をもう少し低くして、さらに例えば水曜日午後はエリア担当の仕事に専念して、可能な施設(交流センター→公民館など)があればそこに待機して相談を受ける、ことを提言します。
40歳前後の職員であれば、いくつかの課を異動しているでしょうから全体も見えているでしょうし、逆にこの経験がさらに幅広い全体図の理解につながるとともに、地域の声を受けて行政が動くという基本中の基本を身をもって体験することが管理職に上がっていく際にも生きることでしょう。
まずは月1回、そして隔週から毎週と増やしていくよう工程でいいと思いますし、そこで担当課に生じる穴をワークシェアリングで埋めるようにすることまで見すえた人事戦略を検討していただきたいと、理事=部長級の立場で重い責任を負っている佐々木人材育成課長には期待をこめて要望させていただきます。

ところで、このテーマは先日のカフェトークでいただいた疑問でして、私自身は問題があるのを失念したものでした。
こういう形で、市民の皆さんからも疑問や提案をいただきながら、新たな提言に加えていきたいと思いますので、ぜひ声を聴かせていただきたいと思います。

2014年6月6日金曜日

一定以上の所得を地域通貨で

先日、最低賃金のことを書きましたら、友人がコメントをくれました。
「高給でも地域通貨で、地元で金回す分には良いんでね?」
これは!と思いましたので、さっそく私なりの提言(というより妄想)をまとめてみました。
  • 市職員で手取り30万円を超える額に関しては、新たに創設する地域通貨で支給することにします
  • スマホで使える地域通貨での決裁システムを開発する市内業者を募集します
  • この決裁システム導入店舗での支払い1%分を、1年間に限り市が負担します
  • 市内で基準額以上を地域通貨で支給する企業団体には、インセンティブを与えます
最大の眼目は、せっかく「高給」をもらっているなら、その分を地域経済で使ってもらう方策を打つということです。
たとえば、「かだれ横丁」がいち早く導入して、そこで支払う人たちがこぞって地域通貨を使うということが起きて、話題を呼んで一気に広まっていくとしたら、楽しくありませんか?
地域通貨を導入するということだけはこんなことは起きませんが、市内有数の職員数を誇る市役所が率先して使わざるを得ない状況を作り、一方で支払ってもらう側でもシステム導入にメリットがある形を取れば、地殻変動を起こすことができると思うのです。
ただ、全額を地域通貨にしては生活が成り立ちませんので基準額以上のところに限定しますが、それでも地域でカネが回るシステムを具体化することで地域経済にはプラスとなると思います。

もう一つは、地域通貨をテコに経済のIT化、さらには地域のIT化をも進展させたいということです。
PR事業の件でふれましたが、市内には地域通貨の決済システムを開発できる人材や事業者がありますし、これにだけにとどまらず、AR=拡張現実やAppleが開発しているiBeaconという近づくだけで情報が飛びこんでくる技術などを活用して導入店舗を紹介できるようにすれば、さらに大きな話題を呼ぶと思います。
そのことで、外部からの視察見学や関心を持って訪ねてくる人が増えれば、市が負担した分以上の経済効果を生むことも予測できます。
ARでの情報発信については以前具体的に提言したのが却下されたのですが、今年に入ってから葛西市長が進んでARのことを発言しているだけに、こういう先進的な技術を活用しての政策展開は今後増えてくるかも知れません。

こういった思い切った発想が全部実現できるとは思いませんが、そこから何か新たな展開が生まれると期待して、できる限りたくさん提言を積み重ねていこうと思っています。

<追記> この件で、アンケートを作成してみました。よろしければ、ご回答ください。
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2014年6月5日木曜日

やっぱり給食は自校式!

いよいよワールドカップまで1週間となりましたが、これにちなんだキラッと光るニュースが和光市から発信されました。
和光市はサッカーを応援する自治体連盟に加盟しているのだそうで、そこでW杯にあわせて対戦国や開催国ブラジルなどの郷土料理を給食で出すというのです。こういう形で、サッカーやW杯のことを子どもたちに覚えてもらうというのも大事な教育ですが、私がひかれたのはそれが自校式給食で栄養士が配置されているから実現できるということでした。

現在、弘前市は東部給食センターと合併後に稼働となった新西部給食センターから大半の小中学校に給食を届ける形となっていますが、旧相馬村では小中学校とも給食室があり給食のおばさん(失礼!愛着をこめてそう呼んでしまいます)が働く自校式でした。
私を含めて給食のいい思い出にあふれた学校生活だっただけに、成人式でわざわざ給食を食べて昔を懐かしむほど愛されていましたし、そこに先生以外の大人がいることで学ぶこともあったので、何とか合併後も守りたいと思っていましたが、老朽化が進んでいた相馬小がPTA臨時総会での議決を経てセンター式に移行し、2根前には設備の整っている相馬中の給食室をアレルギー対応食専用に切り替えられたので、相馬地区には自校式がなくなってしまいました。
相馬小の際にはPTAの一員としてだけではなく市議として持っていた情報も提供して抵抗したのですが、自校式のよさを知らないで育った多くのママさん方の壁は厚く、相馬中の移行には全市にかかわるテーマがあるだけに反対もできずでしたが、今でも自校式に対する思いは残っているだけに、今回の和光市のニュースでその思いがよみがえった感じです。

自校式への郷愁や食育という観点ばかりでなく、防災や地域づくりということからも自校式を推す理由があります。
弘前市で大規模な災害が発生した場合、巨大な二つのセンターが同時に被災する可能性は高いと考えられますが、これが各校に給食室があればリスクを分散することができますし、さらに学校が避難所として使われることになるので、それぞれの場所で調理が可能であれば助かるのは自明のことです。
また、メニューを考える栄養士は別にしても、学校単位で地域のお母さん方を中心にNPOを組織して調理にあたれば、学校を地域で支える一助になりますし、現在のセンターでの工場そのものというべき作業や人間関係でのトラブルという問題を解決することにもつながります。
それに伴う給食室増設での支出は発生しますが、当面はセンターを稼働させながら学校の新築改築の際に徐々に整備していくのであれば調整していくことができると思います。
このように、給食のあり方はさまざまな観点から検討すべき問題だと思いますが、何といっても子どもたちにとって給食が楽しみであるようにするにはどうあるべきかという原点に立ち戻った議論をすることが大事だと思っていますし、皆さんにも考え意見をいただきたいと思っています。

ところで、和光市の情報に詳しいのは、松本武洋市長ご本人がネットでの情報発信に努めているばかりでなく、私にとっては市議と村議だった時期からの交友があるので、今回も自校式かどうかをさっそく教えてもらうことができました。
こうしたご縁を、これからの政策提言に生かしていくつもりです。

2014年6月4日水曜日

最低賃金のニュースに思う

米シアトルで「最低賃金1,500円」満場一致で可決というニュースが飛びこんできました。
詳細は不明ですが、ファストフードの非正規労働者のストライキが発端となって、米国で存在するとは驚きの社会主義派の議員の尽力で議会が動いたということのようです。

一方、日本では民主党政権のマニフェストに最低賃金1000円がうたわれていましたが形になることはなく、弘前市においても所得の向上というスローガンはあっても具体策はないのが実情です。
以前、私は「市政を変えるマニフェスト」で市職員の給与総額20億円カットを打ち出したのですが、このねらいは市民税の減額のための財源確保と、もう一つは平均給与が650万円前後と市民の平均所得の倍以上になっている格差を少しでも是正したいという思いからでした。
これだけは、マニフェストで協定を結んだ当時の葛西憲之候補から拒否されたのですが、そこには市役所職員の労働団体である市労連から連合を通じての申し入れがあったと推察されます。
市内有数の高給企業の所得が減れば市の経済に影響するという批判もいただきましたし、葛西市長は財源確保のために従来もらえていなかった補助金を受けたり交付金と連動する借金となるよう工夫をこらして事業を展開する手法をとっていますが、やはり一般市民からは市役所の給料は高いという声を聞きますし、外からの財源があてにできない時代が早晩来ることを考えれば、やはり給与削減は必要だと今でも思っています。

先ほどのニュースに戻りますと、シアトルでは議員が所得格差諮問委員会で労働者・企業・非営利団体の代表者に働きかけて段階的な引き上げという妥協案での合意を得たことにもふれていますが、現在の弘前市では議会の委員会は市に対する議員側からの一方的な質問の場であって議論を重ねて成案を練ることはありませんし、市は各種審議議会などで市民や各団体と話し合っていますが議会と市民が意見交換する機会もありません。
日本の先進的な議会でも、市民への報告ばかりでなく議会としての政策形成のために意見交換の場を作るところが出てきていますが、シアトルの場合も少数派と思われる立場の議員が動いても正しい主張であれば全会一致となっているように、議員個人のエゴや会派としてのしがらみを超えて全員がチームとして動くことが改革が進む最大の要因であると、改めて痛感します。
弘前市だけでなく多くの議会では、共産党からの提案やそれにかかわる団体からの請願陳情であればすべてノーという風潮がいまだにはびこっていますが、よいこと正しいことであれば誰の主張でも受け入れて検討するのが、議会の本来あるべき姿だと思います。

今回のニュースは、二つの大きな課題を突きつけるものだけに、今後の政策検討の際に心してかかりたいと思っています。

2014年6月2日月曜日

これだから仕分けが必要

帰宅してみると、ゴミステーションの防鳥ネットともに廃棄物減量推進員用のジャンパーと帽子が届いていました。
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これまでの町会の推進員さんは前会長時代から継続してやってくださった方だったのですが、今期からゴミステーションの雪かきなどを引き受けてくださっているお二人に切り替えることにしたのですが、年間6000円の報酬以外にこんなものまで支給されるとは思いませんでした。
実際のところ、これまでの方が着用して活動しているのを見たことがありませんし、渡す際にも着てくださいとは言わずに「山菜採りの際にでも」と笑ってお渡しするしかありませんでした。

そもそも、廃棄物減量推進員とはゴミの分別や減量化が進まないために町会単位で置いている市の制度ですが、いくら報酬を出して辞令交付の際に趣旨を説明しているとはいっても、そこまで徹底して活動するかどうかは疑問な制度でもあり、それにこんな支給品まで支出されているとは思ってもみませんでした。
これも議会の審議を経て動いている仕組みですが、審議されるのは総額のみであり、その中でどのような支出があるのかまではよっぽどの注目案件でもない限り議論の対象となることはありません。
こういう細かいムダを見つけるには、最初に述べたように個別事業ごとに仕分けをして、事業や支出を子なった成果があったのかを精査し、その上で次年度の予算に反映させる仕組みづくり、それができないならば議員個人での取り組みが必要なのです。

今回のことは町会長という自治の最前線にかかわっているからこそ気づいたことですが、現職市議で町会長と併任してきた方々は見過ごしてきたのだと言わざるを得ません。
気づくチャンスをいただいたこと、先んじて指摘する形になったことに感謝します。