2015年3月15日日曜日

登録有形文化財と前川建築

弘前市庁舎が登録有形文化財に登録されると、地元紙が報じています。
戦後の、それも現役の市役所として使用されている建物が指定されるのは、やはり前川建築の価値の高さだと思いますし、このこと自体は素直に喜びたいと思います。

このことで登録有形文化財という指定の価値も同時に理解できるわけですが、ご存じのとおり市役所と並んでいる旧第八師団長官舎は先んじて指定を受けています。
これが4月のスターバックス開業に向けて改修が進められているわけですが、一方の市役所は立体駐車場に続いて防災棟の増築工事が進んでいるところで、当面は市役所として機能させていく方向ですし、今回の指定をふまえると以前提言したような博物館として活用することも見送るしかないと思っています。
このように、同じ指定を受けている対象建築物であれば同じ取り扱いをすべきものだと思うのですが、市の場合は一方は指定を受けている価値を減じさせる改修・開業を臆面もなく進め、もう一方は指定を受ける前であれば検討できることもあったはずなのに市役所として使い続ける方針で進めてしまうという、矛盾した対応であることが問題だと思うのです。

とはいえ、すでに不可逆的な改修や決定が進められているものを論じても詮ないことですから、市所有の前川建築で古い方の市民会館や市立病院について、この機会にこれらも同様の指定を受けることを前提に維持活用を考えておくべきだと思います。
先年改修が行われたばかりの市民会館は当面使い続けていく形になるでしょうし、使用しないことになれば史跡としての弘前公園内に位置しているために取り壊さなければならないことになりますので、これは使用継続を前提に改修を続けていくべきだと思います。
もう一つの市立病院は、病院以外には転用できる建物ではないものの、津軽地域の中核病院としての機能を果たすには郊外への移転が必要となるはずですし、一方では旧一大小学校跡地と一体での再活用を図るべき位置にありますので、文化財指定を受ける前に解体を含めた検討をすべきだと思います。
市では、施設機能の集約と効率化のためにファシリティマネジメントを進めているところですが、文化財としての価値もふまえて取り組まなくてはならない難しさがあり、その焦点は市立病院ということになると思います。

市庁舎の文化財指定から話が飛んでしまったように思うかも知れませんが、こういう機会に考えておくべき問題があると思っています。